ただ黙々と読む “BLACK SHEEP TOWN” 感想

BA-KU製作のノベルゲーム “BLACK SHEEP TOWN” を読了。
本作は瀬戸口廉也が企画・シナリオを行っており、筆者はファンなので購入した。同氏による過去作は“CARNIVAL”、“SWAN SONG”、“キラ☆キラ”、“MUSICUS!”全てプレイ済。
ちなみに“SWAN SONG” が一番好きです。“キラ☆キラ” ならきらり死亡ルート、“MUSICUS!” はバッドエンド?(作曲マシーンルート)が好き。

プレイ時間:15時間
ボイス無しなのでサクサク読み。自分はそれなりに読むの早い方だと思うので、人によってはもっと時間かかると思う。最初から最後まで退屈することなく読み続けた。

評価:非常に良い
暴力描写ありのノベルゲーイケるなら買おう。

◇ストーリー
架空の地域 “Y地区” を舞台とした群像劇

◇ひたすら読むゲーム
本作は “Y地区” で起きた出来事を時系列で整理しつつ、各キャラの視点からそれを追っていく群像劇となっている。プレイヤーは好きなキャラクターの視点を優先的に読むことは出来るが、基本的に時系列通りに近い形で順に物語を追っていくことで先に進む事ができる。一般的なノベルゲームのような選択肢は一切なく、プレイヤーに出来ることはただ物語を読むことだけ。

◇魅力的なキャラクター
群像劇のため、各キャラ毎の視点から物語を読んでいく。メインの各キャラクターはそれぞれ信念というか、己の確固たる考えを持っている。しかしそのような核を持ちつつも、状況・環境に縛られてしまう。
ギャングや暴力を忌避していた謝亮は妹を守るために頭領を継ぐことになるが、効率良い組織運営・変革を求めた結果、身内殺しをも厭わない冷酷なギャングとなっていく。
謝亮の親友である道夫はY地区の未来を見据えて行動するも、謝亮と同様にしがらみから逃れることが出来ず、戦闘部隊の隊長となり多くの人物を殺すことになる。
多くのキャラクターが状況に縛られつつも、己に課せられた役割を全うしようとしてしまうのも悲劇的というか、無常感のようなものを感じる。

自然にやり遂げるんだ。そう、ホテルの朝食のビュッフェで、スクランブルエッグを一掬い皿に取ったら、次はベーコンのトレイの前に移動するように。

謝亮

・・・・・・おれはね、大事なものがあって、それを守るために対立したり、戦ったりするのは人間として誇り高いことだと思っている。しかも、相手が最も尊敬している親友で、全力で力比べが出来るとなればこれはもう男冥利に尽きるじゃないか

見土道夫

ちなみに僕の好きなキャラは世傑です。強キャラ厨なので・・・

◇戦闘シーンもあり
超能力による戦闘、頭脳戦。瀬戸口の戦闘が読めるとは・・・
“SWAN SONG” 以来か?でもあれもそんながっつりって感じではなかったか。

身体的に何らかの特徴が出る代わりにサイキックを使える“タイプA”と、精神的に不安定な状態となりやすい、廃人のような状態になり得る代わりに目が金色となり身体能力が強化される“タイプB”というミュータントが存在する。普通の人間 “ノーマル”との人種差別というか、種族断絶といったところも作中の重要な問題として挙げられる。

◇音楽が素晴らしい
物語全体の雰囲気は陰鬱であるが、それに反するかのような明るい音楽が印象に残った。
サントラ、欲しいっす。

◇続きが気になる
あくまで謝亮を中心としたY地区の物語の一部を切り取っただけであり、終わってはいない。大抗争編、読みたいっす。ただこれ以上やるとどうしようもなくBAD ENDになりそうな気も・・・
またグレートホールやミュータントといった設定についてはあくまで舞台装置でしかないというか、その謎についてはまったくフォーカスされていないので、そういう方向性を求めて読むタイプの作品ではない。

◇章タイトルでネタバレ
展開としては予想通りというか、いつかはこうなるんだろうなあと思っていた通りに物語は進んでいった印象であったが、章タイトルで “~の死” みたいなのが出てくると凄いネタバレくらった気分になる。
作品の形式が路地による記載(こういう形式って何て言えばいいんすかね)の形になっているのでそう考えるとおかしくはないが・・・

◇good
・素晴らしいサントラ
・濃密な内面描写
・魅力的なキャラクター

◇bad
・章タイトルでネタバレがある
・(全てが明かされているわけではない)

◇総評
本当にただ読むだけのゲーム。キャラクターボイスもなく、綺羅びやかなアニメーションもOPムービーも、選択肢もない。予想もつかぬ展開・劇的なドラマがあるか、と言われるとそうでもない。ただ黙々と読み、Y地区の歴史・登場人物達に思いを馳せる。しかしそれだけで面白い。
群像劇って後半に今まで出てきた人物達が一気に絡み合って物語が進行していくことが面白い点の1つだと思うのだが、本作はそういう方向性ではなく、ただY地区の一人一人を追っていくだけ。かなり容赦のない物語になっている。

エンタメ性が強いというよりは、淡々と描いていくことが多い瀬戸口氏の作品はやや人を選ぶところがあるだろうが、個人的には大好きなので今後も氏の作品が読みたい。
同氏によるノベルゲーの新作製作が発表されたので期待している。しかしATRIのアニメ化はともかく、瀬戸口作品が出るとは予想していなかった。ANIPLEX.exeからノベルゲーマジで流行らせてえ~って意気込みを感じる。理解ってるね。

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