トライエース製作、“スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE” のクリア感想。ネタバレあり。
筆者はSOシリーズのファン!というわけではない。シリーズ作品ではSO1、SO2、SO3 DC、SO1(PSP)、SO2(PSP)をプレイ済。SO3の戦闘が楽しかったので結構気に入っている。
トライエースが最近ヤバそうなので遺作となるのかもしれないと、寄付のような気持ちで購入した。俺はVP3を待っているんだ。
SO5を当時購入するか悩んだのだが、プレイ動画を見て仲間が7人くらいで技を撃ってエフェクトで画面が光り続けて何も見えないのを見てクソゲーでしょこれ、と思って購入しなかった。
プレイ時間:33時間
レイモンド編を難易度Universeでプレイ。セーブデータ内の表記時間で、ストーリークリアまで約20時間。その後ファームし、最後に難易度Chaosで最大強化(6枚羽)のイセリア・クィーンを撃破したのが30時間程。ただ、装備製作の過程で結構な回数セーブ&ロードを繰り返しているので、実際のプレイ時間(Steam起動時間)は33時間だった。
評価:凡作
少なくともクソゲーではない。ストーリーは悪くない。悪くないのだが、面白かったかと言われると・・・ 戦闘システムも最初は楽しかったのだが、途中から浅いゲームに感じられた。そしてUIがかなりクソ。
なんというか、60~70点くらいの作品だ。全ての箇所で少しずつ足りていない。
◇ストーリー
突如連邦軍からの攻撃を受け、未開惑星アスター4号に漂流してしまったレイモンドは共和国の王女レティシアと出会う・・・
◇ストーリーは無難
序盤は仲間探索、中盤は共和国と帝国の対立を軸に、そして後半はDUMAの正体、機械生命体スコピアムに焦点が当たっている。帝国の影で暗躍する先進文明、共和国内部での裏切り、レティシアの結婚式からの反撃とストーリーラインとしては割りと王道っぽい。王道っぽさはあるのだが、なんかどうにも盛り上がりに欠けたな・・・という印象は拭えない。全体的に演出面がショボいというのはあるだろう。特にキャラクターのムービー中でのモーションがしょっぱい。レイモンドは何回指差してんだよ。
舞台が宇宙に移ってからはスコピアムを中心に話が展開していくのだが、これがひたすら設定語りをムービーで見せ続けられていく感じでまったく面白くなかった。そして皇帝ボルドールを延々と追いかけては逃げられを繰り返すので、なんとも盛り上がりに欠ける。銀河連邦の提督レベルでの事件なのでスケールは大きいはずなのだが・・・
全体として、明らかに破綻があった(ヘルガー灰化病周りについては微妙だったが)とかここが全然足りてなかっただろ、みたいな感じではないが、全然盛り上がらんストーリーだったな、という感想。
もう少しDUMAに相棒感が欲しかったな・・・
◇キャラはそれなり
全体的に最初からある程度成熟している人物ばかりだ。不快感は感じないが、一方でこのキャラは物語を通して大きく成長したな、という感じもあまりしなかった。
そしてグラフィックなのだが、特徴的というか、全体的に人形っぽいところがあるので結構好みが分かれると思う。自分は肯定的に捉えているが、クロエは見てて少し不安になる造形をしていた。
本編中、おそらくほぼ完全にフルボイスな点は評価したい。
◆レイモンド
声優の演技のせいか、全体的にオラついてる感じで最初はあまり好みではなかったが、最終的にはPTの兄貴分といった感じで頼りがいがあるキャラに。
◆レティシア
シンプルに姫キャラ。
◆アベラルド
苦労人。最初は嫌な奴かと思いきや、割りと素直系。好き。
◆ニーナ
胸にしか目がいかない。ピョンッ!
唯一のヒーラーなのでストーリーでは事実上必須枠だろう。
◆ミダス
ツンデレのおっさん。スピキュール!
◆エレナ
セックス!
◆マルキア
なんか成行きで最後までくっついてきたキャラという印象。
◆マリエル
押しに弱い女。拝んだらおっぱい揉ませてくれそう。
未開惑星保護条約違反の常連ケニー一族は正直笑った。髪が青いのってレナの血なんだろうか。“これなら100点満点です”もいいね。フェイズガンで戦うのも・・・
バーストエミッションが撃てて良かった。
◆JJ
ネタキャラっすかね・・・?
ただ敵として出てきた時は極悪だった。
◆ロナ
どうして仲間にならないんだい?
◆テオ他裏切りおにぎり
何故許されているのか
◆皇帝とその手下
逃げすぎ
◇UIは本当にクソ、システム関連も非常に不便
UIはクソ使いにくい。そしてPTメンバーが短期間でも外れるたびにアクセが外れるのもストレス。今どき装備を購入してそのまま装備出来ないRPGが存在するとは・・・
クエスト確認がメニュー画面からではなくて何故かマップ画面。アイテムクリエイションで何個もゴミアイテムを作ってファクターを合成したりするのにアイテム選択が不便で苦痛すぎる。装備アイテムソートも毎回やり直さないといけないし、何個も同じアイテムがある中、十字キー横でページ送りすら出来ない。しかし合成の時だけは出来る。なんなんだ。
ストーリーはボイススキップできないし、ボイスが流れ始めると地図を見たりすることが出来なくなる。街の人間に話しかける際にぶつかるとのけぞるモーションが出て話しかけられない。
そして、主人公2人いるにも関わらず引き継ぎニューゲーム機能が一切存在しない。なのでレティシア編をやる気がしない・・・
トライエース作品といえばバグ、みたいな印象があったのだが、本作は特に問題なくプレイ出来た。ただ、PC版にも関わらず60fpsしか出ないなどシステム環境面についてはもう少しなんとか出来なかったのか。
◇DUMAを絡めた戦闘は爽快感抜群だが・・・
“テイルズオブアライズ” のように自然回復するポイントを消費して技を出す仕様に。
DUMAの飛行(V.A.)により移動もスピード感がある。そして戦闘中は敵に高速突撃、更に高速移動で敵の視界外から奇襲するサプライズアタック・ブラインドアタックでサクサク敵を片付けられて気持ち良い。
フィールドを高速で駆け抜けつつ、敵も高速で処理しつつとゲーム開始しばらくはかなり面白かったのだが、段々とゲームプレイの幅が無いことに気付く。特にボス戦はひたすら殴り合うことしか出来なくなる。強敵は通常時はブラインドアタック不可で、敵のHPが減ってきた時に時折可能になるタイミングがあるのだが、結局ブラインドアタックはあまり機能しない状態になり、ただひたすら殴るだけになる。そしてNPCの挙動が基本的にポンコツかつボスの攻撃は多段ヒットしまくったり一撃で死ぬようなものも多いので、コロコロ転がるNPCにイライラすることになる。
技もあまり実用的な選択肢が多くないし、強化する必要もある。結果、強い技(ボルダーなど)ばかり振り続けるようになる。いきなり好きな技を取りにいける仕様もあり、気付けば序盤から同じ技ばかり振っている。あとロックオン周りはクソ。
◇スキルツリーは面白くなかった
FF10のスフィア盤のように広大なわけでもなく、一応物語序盤から少し方向性を考えつつ選択出来る、というだけで、最終的には全部埋めることになる。今作はレベルファームがしやすかったこともあり、中盤からは溜まったポイントでとりあえずポチポチするだけで時間だけがかかる退屈な仕様に思えた。
◇アイテムクリエイションでゲームバランス崩壊
アイテムクリエイションはSOシリーズの醍醐味といっていいと思う。
で、今作なのだが装備のファクターにランダムではあるが好きな能力を移植出来る。なので最強のベースアイテムにゴミアイテムから欲しい能力だけを集めてきて最強の一品に出来る!のだが・・・
ファクターの効果が重なると強すぎて、いくらなんでもゲームバランスが崩壊し過ぎだろと感じた。自分はトライエースの作品はゲームバランスがどこかおかしいところがあってもゲームとして成立している、何故か面白い、というのが魅力の1つだと感じていたのだが、本作はバランスが崩壊し過ぎてて最強装備を作ると敵が触れただけで死んでいくような状態になるので、面白いか?と言われると微妙だな、と。
その壊れっぷりが気持ち良い!と思えるような人にはプラスなんだろう。SO4やSO5がどんな感じなのかわからないのだが、SO3もフレイの攻撃をノーダメージに出来てたし似たようなもんなのかなあ。にしても今作は攻撃面でインフレし過ぎている気はする。
こんな感じで装備をファームするとダメージが凄いことになる。というか、装備を揃えてから戦う程の相手がいない(難易度Chaosでも)というのが実情という感じか。同じファクターは重複不可にして防御系のファクターなど織り交ぜて、それで戦いがいのある敵というのがいればよかったかなあ。
レベル上げもこういう装備を用意すればすぐカンストまで行く。
そして令和の時代にセーブ&ロードを繰り返すとは思わなかった。
◇クリア後ダンジョンはいまいちだった
2種類用意されており、トライエースらしくおふざけもあるのだが、今作は過去キャラの性格が憑依する、というだけで全体的にあっさりしており、あまり面白くなかった。
◇音楽は微妙
通常戦闘のノリノリBGMは昔の桜庭統っぽくて好き。戦闘テンポと相まって爽快感がある。他には “The incarnation of devil”のアレンジくらいしか印象に残っていない。やはり最近のゲーム音楽はしっとりした傾向にあるので微妙なんかなあ。
◇スターオーシャンシリーズらしさはあった
自分は近年の作品であるSO4、SO5、アナムネシスをプレイしていないので何を持ってスターオーシャンシリーズの特徴とすべきかは正直わからない。3までプレイしたシリーズ作品としての印象(3はかなり特異的な存在だが)は、スペース・オペラ的な設定を置きつつも序盤は小規模なところからストーリーが展開し、進行すると宇宙規模の陰謀などに発展する。育成やアイテムクリエイションなど自由度が高く、ストーリー中でも簡単にゲームバランスが崩壊する、というものだ。
そういう意味では十分にスターオーシャンシリーズっぽさはあったのではないか。あと、ボスをのけぞらせてタコ殴りにして封殺している時は “あ、俺今SOやってるな” 感があった。
◇good
・ゲーム中ほぼフルボイス、キャラは魅力的
・DUMAによる爽快感のある移動・戦闘
・SOらしさはある
◇bad
・無難だが面白みに欠けるストーリー
・UIがあまりにもクソ、メニュー画面の操作感が悪すぎる
・ゲームプレイで不便に感じる点があまりにも多過ぎる
・全体的に戦闘バランスが雑
◇総評
クソすぎるUI、細かい点でイライラするプレイフィール、最初は面白いが奥深くはない戦闘、全体的に調整が雑、無難だが盛り上がりに欠けるストーリー。
色々な面であと一歩足りていない。もしSO3のようにディレクターズ・カット版が出て細かい不満点・調整について改善があれば一気にかなり良いゲーム(90点くらい)になりそうな可能性は感じるが、現時点では凡作という評価になる。キャラゲーとしては悪くない。
9000円フルプライスでこのゲームをオススメするか、と言われるとNoだ。半額くらいまで下がれば・・・
コメント