“ブレイブリーデフォルト2” 感想

ブレイブリーデフォルト2はブレイブリーシリーズの最新作。
筆者はブレイブリーデフォルト、ブレイブリーセカンド共にリアルタイムでプレイ済。
最新のゲームですが、前作含めて以後特にネタバレには配慮していません。

クリア時間:37時間
サブクエストなどを気にしないのであれば30時間ほどあればクリア可能と思われる

評価:凡作~やや良作くらい
ストーリーは“古き良きJRPG” 、無難な作りで悪くないが、無難に作りすぎていて後から振り返ると面白みに欠けている印象。
システム面に細かい不満点が多い。

■ストーリー
4つのクリスタルに導かれし光の戦士となる

■ブレイブリーセカンドの呪い?
久々のブレイブリーシリーズ。
世間ではブレイブリーセカンドが相当不評だったようで、ブレイブリーシリーズ自体が終了したのかと思っていたが、完全に設定を一新した新作。
一応僕としては、初代ブレイブリーデフォルトは尖った名作、ブレイブリーセカンドは楽しいクソゲーくらいの評価。

楽しいクソって何だよ、って方のために補足しておくと、プレイしている最中は楽しめているが、クリア後に振り返ってみるとクソだったな・・・と思えるような作品のこと。
何故クソと思うかだが、作品全体を俯瞰してみた時に整合性が取れていなかったり、どうでもいい事に尺を取りすぎて必要な場所が語られていなかったり、特に必要がない設定がいっぱいだったりすることが大抵である。
アニメでいえばギルティクラウンみたいな作品。

僕がブレイブリーセカンドをクソゲーだと考える理由だが、“がんばリベンジ” やら “アニエス様助け隊” みたいなギャグっぽいワードが飛び交い、ミステリアスな雰囲気を持ってそうなマグノリアがルー大柴みたいな喋りをしたり(可愛かったので個人的には有)、一応作中の設定は緊迫してるのに一生キャンプで飯の話ばかりしている、特に意味のないパッケージ絵など、全体的に馬鹿っぽい。
リアリティが欠如しているというか、作中の設定とキャラクター達の雰囲気が完全にミスマッチだった点が恐らく批判を受けた大きな理由ではないだろうか。
またブレイブリーサードを出す気満々だったのもユーザーの反感を買ったかもしれない。
パロディネタもかなり鼻についた。
シレン5なんかでも感じたのだが、パロディというのはパロディの元ネタがある文脈の面白さなわけで、現実世界を舞台にした作品以外で出すと世界設定に突然異物が混じるので製作者はもう少し慎重に取り扱った方が良いのではないだろうか。

作中で重要な仕掛けとなるエアリー

どこか意味ありげだが、特に意味はないティズさん

ブレイブリーセカンドでは“やり直す勇気” が語られたが、世界設定を一新した今作は果たしてブレイブリーシリーズの“がんばリベンジ” となるのか?

正直な所、ブレイブリーデフォルト2はインパクトに欠ける作品と感じた。

今作のPTメンバーのセス、グローリア、エルヴィス、アデルは恐らく全員が20歳以上の大人だ。
そして彼らは皆人格的に、最初からほぼ完成しており、物語中での成長はほぼ感じなかった。
プレイヤーが彼らに対して不快感を感じることはまったく無いのではないだろうか。
明らかに子供っぽい面が目立った中高生くらいのイデアやユウとは対称的だ。

シナリオは全編にわたってシリアスだ。

サヴァロンでは国の現状を憂いた王子が暴走し、ウィズワルドではやべー女の子が大量殺人をしているし、ライムダールでは宗教裁判で滅茶苦茶人が死んでる。
前作で馬鹿っぽいノリをやった反動なのかはわからないが、話が全体的に暗めで、特にライムダールはどうしようもない陰鬱さだ。こういうの結構好きだけど。

先代の光の4戦士の意思を継いで戦う、という終盤の展開は無難だが王道でアツい。

王道大いに結構なのだが、いくらなんでも王道に忠実に作りすぎというか、“古きJRPG” そのものだ。

悪い妖精というブレイブリーシリーズの定番?要素もあるものの、はっきりいって存在感が全然なかったし、エアリーやアンネのような憎たらしさと同居する可愛らしさもない。

序盤から登場し、中盤での山場になる皇帝アダマスだが、本当にただ諸国を征服して統一しようとしている、という点しか語られず、あまりにも物語での印象が薄い。
FE覚醒のなんとか帝国の皇帝みたいな奴だ。

ラスボスであるヤミノヒトミも、滅びろ滅びろと連呼しているだけで、過去作のラスボスであるウロボロスやプロビデンス様と比較すると魅力に欠ける。

とにかく、キャラクターに対しての掘り下げがほとんどない。一部はサブクエストで語られるものもあるが、全体的に話もキャラクターも“弱い、薄い” と感じた。
前作の反省を踏まえているのかわからないが、ちょっとつまらない方向に成長したかもな・・・

■ブレイブリーシリーズである意味は?
ブレイブリーデフォルトでは “従わない勇気(自らの信念に基づいて行動)” 、ブレイブリーセカンドでは “やり直す勇気” が大きなテーマとして描かれた。
FLYING FAIRYとEND LAYERというサブタイトルも物語に重要な意味を持っていた。

今作ブレイブリーデフォルト2ではサブタイトルは存在しないし、ちょっと説教臭いテーマも提示されなかった。
一応 “従わない勇気” というフレーズは数回取ってつけたように出てきてはいたが、正直なところ、この作品がブレイブリーシリーズである必要性があるのか、疑問だ。

この内容なら別に“光の4戦士 2” でも良くないか?と思ってしまった。
悪い妖精がいたら?ブレイブデフォルトシステムがあれば?アスタリスクシステムがあれば?メタ的展開があれば?
制作陣が何を持ってブレイブリーシリーズとしているのかは知らないが、僕にとっての過去のブレイブリーシリーズは“古き良きJRPG”を掲げながらも一捻り加えて驚きを与えてくれる作品だった。
ブレイブリーデフォルト2はただの“古き良きJRPG”であって、そこに驚きはなかった。
間違いなくクソゲーではないが、過去のブレイブリーシリーズと比較すると面白くない。
堅実に楽しめる無難な作品で、大きく批判を受けることはないだろうが、友人に薦めたくなる作品ではないし、現時点では古典でもない。

◇good
・revoによる楽曲
ブレイブリーデフォルトからrevoが引き続き楽曲を担当。高品質。
ボーカル版が楽しみ。

・街の風景
絵本から飛び出したような町並みはハードの性能向上により更に磨きがかかった。

・豊富なアスタリスク
強い組み合わせを探すのが楽しい。
黒魔道士や竜騎士など一部のジョブは弱いと感じたが、大体のジョブに何らかの明確な強みがある。

・王道のストーリー
過去のブレイブリーシリーズと比較して全体的にシリアスすぎるが、大きい粗は感じなかった。
王道のストーリー。

・戦闘の調整
戦闘を単調なものにしないように工夫しようとしている点は評価する。
前作までの戦闘では、とりあえずデフォルトした後にフルブレイブ、といった戦法が安定行動として確立していた。今作では速度の概念やカウンター・ジャマーの要素の導入により、脳死の戦術は難しくなり、考える要素が増えた。
が、カウンターは雑魚ですら頻繁に発動するし、ボスはバフや回復、デフォルトに何度も妨害行動を入れてくる。少しやりすぎでストレスだった。
カウンター行動を回避できる、仕返し回避のスキルが必須級アビリティ。
人によっては難易度が高いゲームだと感じられるかもしれない。

・ファームが楽しい
連戦や高速戦闘により快適に稼ぎが可能。
雑魚がステータス上限値を上昇させる強化アイテムをレアドロップするので、全ステータスカンストを目指すような作業が快適に行える。

◇bad
致命的な欠点があるわけではないが、システム面の細かい不満点が積み重なることでゲーム全体のテンポが悪く感じられる。

・ロードが長い
FFCCのように物凄く気になるわけではないが、全体的にロード時間は長め。
ダンジョンによっては頻繁に切り替え、読み込みが入り、ゲームテンポが悪く感じられる。

・サブクエストがつまらない
おそらく100程度のサブクエストが用意されている。
いくつかのサブクエストではキャラの掘り下げがされるが、ほとんどはただのお使い。
しかも何度も往復させられたり、やたらとアイテムの要求数が多かったり。
移動のためのロードが長いことと合わさって、物凄くつまらない。
更に言えば、クエストの報酬は基本的にクエストでなくとも手に入るものばかりでメリットも薄い。
もっと数を絞って、1つ1つの深みを増して欲しい。

・ダンジョンがつまらない
基本的にダンジョンはいくつかの分かれ道があって行き止まりには宝箱があるだけで非常につまらない。

・処理落ちが頻発する
戦闘開始時や4倍速戦闘中、パーティーチャットの読み込み時などに明らかに処理が重くなる。
エラー落ちも1回あった。

・全体的に話が薄い
王道ではあるが、キャラクター、ストーリー共に印象が薄い。
心には残らない。

・移動がだるい
飛空艇や船のような高速移動手段がない。
街から街へのファストトラベルはあるが、街の入り口へトラベルするので街に入りたい時は読み込みが余分に発生する。

・画面が見にくい
全体的に画面が発光しており、前述の処理落ちなども重なると敵の挙動が極端に見にくくなることがある。

・アビリティのセット保存機能がない
雑魚戦とボス戦での付け替えがだるい。
ブレイブリーセカンドではあったはずなのだが・・・
どうして過去に出来ていたことを出来なくしてしまうのか。

■総評
ブレイブリーセカンドでの失敗を受けた結果かはわからないが、シナリオ・キャラクター全体が無難な作りをしすぎて面白みに欠ける。もうちょっと個性出してもいいと思う。
ブレイブリーシリーズに何を求めているかによって評価が分かれそうな作品。
筆者は王道感を出しつつも捻ったストーリーや、ジャンクとも言える味付けのキャラクターの前作までが好きだったので、今作の評価はやや低い。
一方で、ジョブの組み合わせを探したり、ファームすることが楽しく、ストーリーは無難に纏まっていればそれでいい、古き良きJRPGが良い、という層にとっては充分に良ゲーの範疇だろう。

やや辛口の評価となったが、プレイしている最中は充分楽しめた。
ブレイブリーシリーズの新作が出たらまた買うと思う。

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