“テイルズ オブ アライズ” 感想

“テイルズ オブ アライズ” はテイルズシリーズの最新作。キャッチコピーは “心の黎明を告げるRPG”。
テイルズシリーズは一時期かなりの頻度でシリーズを乱発してたイメージがあるのだが、“ベルセリア” 以来の久々の新作。
“ゼスティリア” が色々と悪い意味で話題になり、そういったイメージを払拭するために今作は気合を入れて作ってきたと思われる。

僕はテイルズシリーズはあまり触ったことがない。“デスティニーシリーズ”、“エターニア” のみ。
15年ぶりくらいのテイルズ。
今週平日全部休み取っていて時間に余裕があるので、いつもより詳細に書きます。

プレイ時間:40時間
難易度はセカンド。
ボイスを結構ちゃんと聞きながらプレイ。
サブクエは精霊戦含めてクリア前にほぼこなした。フクロウも全部集めた。
文字だけさっさと読んでいく、いつもの自分のプレイスタイルなら30~35時間程度でクリアすると思う。

評価:良い
気合の入ったグラフィック、無難なストーリー、アクション性の高い戦闘、キャラクターもなかなか魅力的。
全体的な出来はなかなか良いと思う。
一方で気になる点も結構ある。

■ストーリー
レナ人による支配からダナ人を解放しよう。

■感想
テイルズシリーズの特徴といえばアニメ絵・アニメ調のグラフィック、ちょっと青臭い・厨ニっぽいストーリー、アクション性のある戦闘、そしてキャラゲーといったところが思いつく。

◇グラフィック
アニメ調のグラフィックとしてレベルが高い。
同じJRPGの軌跡だと抜刀して突進、すれ違うだけの殺陣のシーンなんかも3Dモデルで結構動きながら殺陣してくれる。
キャラクターの感情表現もわかりやすい。グラに関しては相当頑張っている。
アニメ絵のスキットは廃止されたが、3Dモデルのクオリティが高いので別に問題ないと感じた。

◇戦闘
・戦闘の基本は面白い
本作では今までのTPに相当するものがなくなっており、代わりに時間経過で回復するAGを消費する。術技をあまりリソースを考えずに撃ちまくることが可能。

また敵の特徴(守りが堅い・回避率が高い・詠唱する)などに対応した仲間のブーストアクションを使うことで敵をダウンさせ、戦闘を有利に運ぶことが可能。

ある程度コンボを繋げるとブーストゲージが溜まる。敵のHPが減ると溜まりやすくなる。これが完全に蓄積すると仲間とのブーストストライク(連携技)を出せる。雑魚は確定で撃破可能。

通常攻撃・術技・ブーストアクションを駆使して敵をダウンさせてコンボを決め、止めの連携技で締める→撃破後カウンターレイドでそのまま次の敵へコンボ、というのが雑魚戦の一連の流れ。
これがなかなか爽快感があり、キャラクターの操作性も良いので戦闘がかなり面白い。
毎度連携技の演出を見ることになるのは鬱陶しくなりそうなものだが、それを考慮してか技は短い演出に抑えられている。短いながらもキャラクターがしっかりと連携を行っているのが感じられ、演出もどれもなかなかかっこいい。

敵の特徴に対応した仲間の支援で戦闘を有利に運び、止めの一撃でシメる一連の流れは、先日に発売されたスカーレットネクサスのような感じだ。

・雑魚戦とまったく異なるボス戦
雑魚戦の爽快感とは一転、ボスはほぼのけぞらない仕様となっている。
また、いくらコンボを繋いでもボスは連携ゲージが溜まらない。大体HPを半分削るとき、止めの一撃時に連携が可能。
雑魚戦での核を形成していたコンボ→ブーストストライクの流れを全否定している。
ボス戦はひたすらヒットアンドアウェイ、もしくは回復術・回復アイテムを使いながらのゴリ押し、リソースの削り合いになりがちといった印象。
ヒットアンドアウェイ自体は容易なのだが、あまり回避に重点を置いていると先にNPCが死ぬので、結局とにかく殴って殴って殴りまくってこちらのリソースが底を付く前に削り切ることになる。
一応ボスもダウン自体はするのだが、ダウン自体は短いし、全体的なHPが高めに設定されており、一気に倒し切るのはとてもじゃないが無理。
こちらが仰け反っている時にも追撃が当たって即死することがあり、敵の攻撃はなかなか激しい。
今作、戦闘の難易度がシリーズの中でもかなり高いらしいのだが、個人的に言わせてもらうと難易度が高いというより、ボス戦がただ面倒なだけ。
正直ボス戦はつまらない。出来の悪いモンハンをやっているような気分になる。
また、ボスが途中で雑魚を召喚するパターンが多く、これもまた面倒でつまらない。

◇ストーリー
1部では支配されているダナ人、支配するラナ人の対立構造を主に、ダナの5つの国を解放することを目的として進行していく。
2部ではレナを舞台に物語の核心部分が明らかにされる。

ストーリーは全体的には無難というか王道的になっており、大きな不満はない。
細かい話をし始めると気になるところが無いわけではないが、王道ぽくハッピーエンドで終わらせたので、テイルズシリーズに求められているものは十分達成しているのではないだろうか。

◇キャラクター
登場キャラクターが物語全体を通して少ない点は寂しいが、主人公PTはそれなりにバランス良く纏まっている印象。ロウ・キサラの2人はちょっとストーリー的に不遇な感じはする。
キャラデザはあんまテイルズ感ないなと思った。スターオーシャンの新作ですか?

・アルフェン
物語の開始時点から人格がほとんど完璧というか、聖人みたいな主人公。
1部の鎧姿も2部の “王” 装束も、正直かっこいい。
主人公オブ主人公といった感じだ。
ゲーム内での性能は“炎の剣”で自傷してHPを限界まで使いつつ戦うという、ピーキーでとても主人公とは思えない特徴。
しかし“炎の剣”の火力は他のキャラクターと桁1つ違うのでこれを上手く使うかどうかでゲームのバランスが変わるレベル。ブーストストライクも全ての敵にダウンが取れる最強性能。
よくHP1になるので死亡率No.1。

・シオン
性格キツめ系ヒロイン。だが、徐々にデレていく。
アルフェン同様、かなり王道的なキャラクター。最後に結婚までしているので報われてよかったね。
ゲーム性能的にはヒールが使えるキャラなのでほぼPT入りすることになるだろう。

・リンウェル
ロリ枠?ちょっと眉太めなのが好み。
序盤はラナ人を毛嫌いしており、PTがよくギスる。最終的には和解。
ワッカみたいだな。
ゲーム内性能はアルフェンと並んで明らかに強い。
術を連携させることで上級術を連発することが可能。空中技の氷牢なんかも高性能。
このゲームの仕様的に遠隔攻撃が強いのでほぼPT入りすることになるのでは。

・ロウ
アルフェンの弟分的ポジ。
ジルファの話が終わると同時にロウの話はほぼ完結するのでストーリー的には正直弱い。あとはひたすらリンウェルのケツを追いかけるだけ。
ゲーム内性能も使いにくい。プレイヤー操作で真価を発揮するタイプなんだろうが、アルフェンで良くね?感がすごい。
ストーリーも戦闘も若干影が薄いが、松岡君の熱演が光る。
“超魔閃光牙”の演技が好き。

・キサラ
家事担当。
テュオハリム戦のヒステリーで株を下げてそうなキャラ。
ファイナルプレイヤーの継承者。
戦闘は突進受け止め担当だが、用途が一番限定されていて出番が少ない。ほとんどのプレイヤーはロウと一緒にベンチ待機になるのでは。

・テュオハリム
ストーリー的にもキャラ的にも美味しいポジションを占めている優遇キャラ。
全体的に変な技の名前をしているのも面白い。テュルボコエイジとか。
戦闘でもシオンと同様、ヒールが使えて遠近両方可能ということでPT入。
このゲームは自キャラ以外は遠距離攻撃だけさせとけばいいゲーム。

・ガナベルト
序盤でインディグネイションを披露してくれる知将。
わざわざ反乱組織のリーダーに化け、影武者を用意までする策謀家。
そのくせに最後は主人公PTと真っ向から戦ってくれる漢の中の漢。

・ヴォルラーン
ラスボスまで務めるアルフェンのライバル枠なのだが・・・
全体的にネタキャラの波動が凄い。
何故か他領まで出向いて狼を狩っている・冷たそうな椅子に変な座り方をしている・ボスの癖にやたらと片膝をつく・弱い・妙にアルフェンばかり追いかけてきて他の味方からタコ殴りにされる・自分をマジの王だと勘違いしている・声がウッドロウなど。
残念なセフィロス。

◇気になった点・不満点
・戦闘に関する不満点
術技を回避でキャンセルすることが不可能なので、長い術技を使うメリットがほぼ存在しない。
中盤から術技が全然増えないので使い勝手の良い同じ技連発してるだけのゲームになる。コンボを繋げれる雑魚戦ならともかく、ボス戦は一生轟覇斬と魔神剣双牙とフラムエッジを振り続けるゲームになってた。
ボスの攻撃に全方位の咆哮みたいなのが多すぎて、NPCに近接キャラクターを配置するメリットが殆どないように感じる。キャラパワーだけ考慮すると、ほとんどのプレイヤーはロウとキサラがお留守番することになるのでは。
コアブレイクのメリットを殆ど感じられない。短時間のダウンだけで、その後はしばらく弱点が消えるのでむしろブレイクしないほうがうれしい。
もっとコアブレイクのメリットが欲しかった。一部のボスはブレイクすると尻尾が切れて攻撃範囲が狭くなるといったメリットがあったのに…
精霊戦はクソほどつまらない。

・敵の種類が少なすぎる
マップが変わっても、ずっと色違いの狼とか、兵士と戦い続けることになる。
仲間のアクションとの相性を作るために多くの敵を作れなかったのかもしれない。
にしても少なすぎると感じる。

・ストーリーで気になる点
キャラクターの感情面の変化が唐突に感じられるものが多かった。
アルフェンはジルファからは本当に色々なことを学んだ、と言い続けるのだが正直ピンと来ない。
確かに考え方の核になるようなことを言われてはいたのだが、一緒にPT同行してたのって精々30分~1時間くらいだったような。ほとんど信者みたいな状態まで行ってる気がして違和感がすごい。
ジルファだが、息子に会って勝手に連れて行かれて普通に死んだおっさん、って印象しか感じられなかった。息子に手を出せないまではわかるが、残って連行される必要あった?
キサラの兄ミキゥダも自分がもう長くないとは言え、いきなり自殺までしてみせるのはおいおい、って感じ。

・2部で製作が力尽きた?
2部になると物語の核心部分が明らかになるのだが…
いきなり明らかになるというか、とにかく会話会話会話会話スキットスキットスキット会話会話会話といった感じで、ひたすらキャラクターが説明口調で物語の核心部分に迫るための話をし続けて、ゲーム部分がまったくなかったので正直しんどかった。
ゼノギアスのディスク2のような感じだ。

2部のOPで映像化されているノーム戦やシルフ戦も完全にサブクエスト扱いで本編への絡みがまったくない。
そして2部以降の名前ありの敵キャラクターは登場しない。少ないゲーム部分では、ひたすら魔獣(色の変わった使いまわし狼など)とバトルしていてダレる。
全体的に、2部の製作が間に合わなかったので無理やり帳尻合わせたのかな?とプレイしていて感じた。

・音楽はあまり印象に残らない
桜庭統好きなんだけど、今作BGMが小さめなせいかわからないが、全然BGMが印象に残らなかった。
聞いた瞬間に あ、これ桜庭統だな、とは感じたんだけど、記憶に残ってるものがほとんどない。
近年のゲーム音楽が環境音に寄ったりしていて、若干静かになりつつある傾向はあるけど、エターニアとかVPの時みたいなズンチャカズンチャカ五月蝿くて脳裏に残る曲が聞きたい。

2部のOP・ED曲はかなり良いと思いました。

・DLCの主張が強すぎる
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・世界が狭く感じる
大体1つの国につき3~5時間程度で攻略していくので、ゲームのテンポは良いのだが物凄く世界が狭く感じる。
ダナ界というよりもダナ大陸でなんかやってんじゃねえの?

・ダンジョンは退屈
とりあえず雑魚配置してるだけ。昇降機の鍵を探すRPG。

■good
・レベルの高いアニメ調グラフィック
・テイルズシリーズに求められているであろう王道なストーリー・キャラクター
・アクション性の高い戦闘

■bad
・キャラクターが少ない、世界が狭く感じる
・2部で力尽きた感がある
・ボス戦はつまらない
・DLCの誘導が露骨すぎる

■総評
久々のテイルズシリーズ新作。テイルズシリーズに求められているレベルは充分に達成していると感じた。
近年貴重になりつつあるJRPGをプレイしたい人・テイルズシリーズのファンにとっては充分にプレイする価値があるゲーム。
ただ、万人におすすめ出来る素晴らしいゲームとは思わない。不満点を探せば少なくない数が出てくる。

バンナムのゲームは時間が経てばセールで凄い安く買えるので、それまで待ってても良いと思う。

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